第23章 殺意の目
「?どうしたの?」
「いや、ドーベルマン先生の訓練がそろそろ終わる頃だろう?君の頭のいいナイトたちが感づいて来るかもしれないよ?」
「そんなこと」
と言いかけたが、脳裏に過ぎったのは2人がデッキで倒れながらもワーワーと言う様だった。
苦笑いを浮かべていると、レイリィは一歩下がって小首を傾げた。
「今日はもう戻ると良い。明日も明後日も逢えるよね?…もちろん友達として」
「…うん。レイリィ、ありがとう」
「僕の方こそ。…友達って言ってくれて、ありがとう。またね」
「うん、また」
ひら、と手を振った彼は部屋の中に入って行った。
私もデッキに戻るために長い廊下を歩いて行く。
茜色の光が地面を照らし、ノスタルジーな雰囲気が漂うその中で、目の奥が熱くなったが、グッとこらえる。
「(悲しいのは私じゃない。レイリィの方だ。…泣くな)」
天井を仰ぎ、大きなため息を吐く。
「(人が悲しむ所を見ると、自分も悲しくなるの直さないとなぁ…)」
あんなことを言っていても、失恋は悲しい。
自分という不甲斐ない人間を好きになってくれた。その想いを傷付けるのは心が痛む。
息を飲み、もう考えるのはよそうと思いっきり地面を蹴った。
その次の日だった。彼が無残な姿で見つかったのは―――