第22章 晴れてこれで
コンコンコン
「ドクター。さくらです」
「どうぞ」
同じような応答に、さくらは瞬きを二回落として扉を開けた。
中にはドクターだけがおり、椅子に座ってまた書類仕事をしているようだ。
「?さくら、凄く疲れた顔をしているようだが?」
「…まぁ、色々ありまして」
「うん?…まぁいい。何かあったか?」
「はい。サナの香水はシャワーによって取れたようなので報告に」
「あぁそれはよかった」
「部屋はまだあの匂いが取れないようなので経過待ちですが、あの分だとすぐに周りは彼女に気を許すでしょうね」
「わざわざ良い報告をありがとう。…おや」
「?」
ドクターは何かに気付いたのか、椅子から立ち上がると私の前まで来てはその手で私の顔に触れた。
首を傾げると、かすかに見える口元がへの字になったのを見た。
「さくら、まともな食事を摂っていないな?それに寝不足気味だろう」
「え、あ、まぁ…」
「肌の状態が良くない。このままでは体調を崩すぞ。しっかり食べて、しっかり寝なさい」
親かな?と思ったが、半ば親のような存在だと苦笑いを零す。
指揮官であり研究者な彼はオペレーターの面倒見は良いし、異常があればすぐに気付くタチだ。
素直に頷いた。
「わかりました。じゃあ…これからちょっと腹ごしらえの後に仮眠します」
「そうするといい」
「…ドクターもたまにはゆっくり休んでくださいね?」
「あ、あー…あぁ…善処するよ」
その言い方はしない奴だな、と思いながら一礼して部屋を出るために出入り口に向かう。
そこで一応、親代わりのようなドクターに報告をすることにした。