第22章 晴れてこれで
「ドクター」
「うん?」
「私、アドナキエルとスチュワードと付き合うことになったので「ぶふっ」…ドクター?」
丁度デスクの上の珈琲を飲もうとしていた所らしい。盛大に噴き出して染みになった書類を見て絶望する…よりもこちらに来るスピードの方が速かった。
「待て待て!?よくっ…よく2人いっぺんに受け入れようと思ったな!?」
「そうですよね…世間一般的には酷い女ですよね…」
「いやそうじゃない!!2人と付き合うのはよろしいことだが、どっちも癖のある2人だぞ!?」
「まぁそういう所にも惚れたと言いますか「急に腑抜けるな!嬉しそうな顔だな!?」嬉しいですし」
ドクターのキャラが崩壊している。それほど驚いたのだろう。
言うことを言って落ち着いたのだろう。フー、と息を吐いてから私の頭を優しく撫で始めた。
「私は祝福する。それも、このご時世だ。感染者と非感染者が愛を結ぶなんて早々ない。…本当に、君が幸せそうで良かった」
「…それもこれも、ここにおいてくれたドクターとアーミヤのお陰です。2人には感謝しています」
「よしてくれ。私は何もしていないよ。…さくら、2人を大事にしてやってくれ」
「はい。ありがとうございます」
もう一礼して、今度こそ部屋を出る。
と、まだ言い合いをしてて思考が風に吹かれた砂のようにサラサラと消えていく。
「譲って」
「やだ」
どうやらここに来るまでに話していた…今日どちらと寝るか、という話題でもめているらしい。実に微笑ましいというか、嬉しいというか。
つい笑ってしまった私は、そのまま2人の間に入り、手を掴んだ。
「3人で寝ればいいじゃん」
そう言うと、腕を掴まれて、まるで人間に捕まった時の宇宙人のような絵面でどこかに引きずられていく。
「「その言葉待ってた」」
「は?」
「さくらは優しいからそう言うと思った」
「まぁちょっと狭くなるだろうけど、我慢してくれるよね?」
どうやら、仕組まれていたらしい。
だがベッドが狭かろうが、広かろうが、一緒にいれればいいと思っていた私は軽率な発言をしてしまい、
「明日も、明後日も一緒に寝ればいいじゃん」
2人の思考を止めることとなり、朝ごはんは抜きに、そのまま自分の部屋に行くことになってしまった。
To be continued.