第22章 晴れてこれで
「何これ拷問…?軽く死ねるよ…?」
「凄い表現するね…」
「さくらが好きなだけだよ。ね、キスしていい?恋人になったんだから構いませんよね?」
爛々と輝く目に血がサーッ、と引いて行く。
そういえば自分で言っておいてなんだが恥ずかしさも2倍ということになるのでは?
「待ってアドナキエルは落ち着いて?」
「まぁさくらが選択したことだから仕方ないね…まぁ僕だって我慢して来たんだから、我慢して」
パタパタ、と視界の端で綺麗な狐の尾が揺れている。それを目で追っていると、不意に自分の体が引き寄せられて背中と後頭部に腕が回った。
「ていうことで、今日は僕が独占してもいいよね?」
「良いって言うと思ってるなら吃驚するなぁ。早く離してくれないかな」
「ずっと独占してたやつの言うことじゃないと思うけど?」
真上で火花が舞っている。2人を受け入れたつもりだったがなぜこうなった。
「(誰か助けて…)」
大声で叫びたい気持ちを抑えながら、まぁこれも幸せだと微笑んでスチュワードの腰に腕を巻き付けた。