第22章 晴れてこれで
「さくら、ごめん。そんなに嫌だとは思わなくて」
スチュワードの声に、首を振った。
「嫌じゃない…嫌なのは…2人を求めてしまう欲張りな私だから…」
本音を暴露すると、左頬に温かな手が触れる。ゆっくりと顔を上げると、2つの体が飛びついて来た。
「それは一辺に受け入れてくれるってことでいいですか?」
「き、聞いてた?端から見れば酷い女だよ?」
「はは、僕らはそうじゃないみたいだ」
「片方がフラれる、なんてこと覚悟していましたが、その方向に傾いてくれれば俺たちは満足ですよ」
なんて奴らだ。と苦笑いする。その直後、目の前が歪んでいく。
両手を広げて二人の頭を抱えると、喉から湧き上がってくる嗚咽を抑えながら目をぎゅっと瞑った。
「アドナキエルが泣かせた。僕は知らないからね」
「何でそう俺のせいにするかな。あれはスチュワードもやったから同罪だよ」
「人のせいにするところは良くないな」
「スチュワードもしてるじゃないか」
「ぷふっ…ははっ」
私を挟んだ2人の言い合いに、思わず笑った。
2人は、困った笑顔で見つめ合うと、私の肩に手を置いて擦り寄って来た。
「僕はその笑顔が好きになった」
「俺はその優しさに惹かれたんだ」
盛大な告白大会に小恥ずかしくなって、手の甲で目を拭った後両手で顔を覆った。