第22章 晴れてこれで
「カ、カカカカカカーディちゃんだ…可愛い…!!」
完全にお風呂上がりのサナは、湿った髪のままカーディに近付く。
カーディはあの匂いがトラウマなのだろう。私の後ろに隠れたままだ。
「カーディ。部屋の匂いはまだ取れないだろうけど、彼女が香水を取ってくれた。どう?」
「んむー…わかんない。部屋の匂いがきつすぎて…」
「じゃあちょっと部屋の外出よう」
そう言って2人を部屋の外に出す。
カーディは緊張した顔のサナに、警戒している猫のように恐る恐る近付いてはすんすん、と匂いを嗅いでいる。
この時点で決している。匂いを嗅ぐことができているのはもう大丈夫な証拠だ。
「しないよ!」
「あぁあ…そ、そっか…ご、ごめんねカーディ…もうつけないから…」
サナは本気で後悔しているようだ。
すると、カーディは私の後ろから出てその尻尾を振り、サナに抱き付いた。
「わぁあああカーディだあああ…!!」
その光景を見れただけで満足だ。
サナはこちらを見ては嬉しそうな顔をしては、恐る恐るカーディの背中に腕を回した。
…好きな世界で知ってるキャラに抱き付かれたらこうなるよなぁ。
「ね!サナちゃんだっけ!じゃあ一緒に食堂行こ!ご飯食べてないでしょ?」
「う、うん!」
「さくらちゃんも行こ!」
「ん、私は大丈夫だよ。ドクターに話があるから、2人で行っといで」
「了解!行こ!サナちゃん!」
「うんっ」
走っていく2人を見送る。
これで彼女がロドスに馴染めるのも時間の問題だろう。
よしよし、と頷いて任務完了をドクターに告げに行くことにした。
足を一歩前に出した私は正面にある左の通路に曲がった。
そんな時、遠くの方からサナの声が聞こえて来た。