第20章 無意識の悪魔
食堂付近を捜索していた時だった。
前から見知った顔が私を見るなり走ってくる。
「わーさくらだぁあ…!!」
「エクシ、ぁあああ!?」
私と同じくらいの身長が飛びついて来た。
抱き留めると、メランサのように肩に顔を埋めて激しい呼吸をし始める。
「うええん…さくらの匂いだぁ…」
「エクシア。臭いの強い人がいるって聞いたんだけど」
「あっち!あっち行ったぁ!ふえん。抱き付かれたぁ!」
「そか、ありが、ぐえ!?」
「さくら行かないで!あたしの酸素ボンベになっておくれ!」
「酸素ボンベって何!?」
驚きである。先民にとって私は酸素ボンベらしい。だからメランサも抱き付いて来たのか、と納得する。
しかし、ここでずっと立ち往生もいかない。
「ごめんエクシア。行かないと」
「むむーっ」
「どうしてもあれなら私の部屋でシャワー浴びて良いから」
「ホントに!?さくら恩に着るよ!」
やったぁ、と言いながら走り去っていくエクシアを見送る。
本当…嵐のような人だ。
その姿が角を曲がったことを確認してから再び廊下を駆けだす。