第4章 セカンドインパクト
「紹介します。俺と同じ行動予備隊A4のスチュワードとメランサちゃんです」
「まったく…紹介に預かったスチュワードだよ」
「メランサ、です」
丁寧に2人が手を出してくれる。どうやら握手のようだ。左手の袖で涙を拭い、右手を差し出した。
「さくら、です」
「はは、嫌だな。メランサじゃないんだから丁寧にしなくていいんだよ」
「どういう意味ですか…」
ぷく、と膨れた可愛らしい少女に確かに丁寧だ、と笑う。
そんな私を見てきょとんとした顔をする2人が、次の瞬間には軽く笑みを見せて私の手を両端から掴んだ。
「そういえば…初めて名乗ったね」
「ドクターにご報告、です」
「!」
この世界に来て、自分の名前を告げるのは初めてだった。
最初に警戒をしていたためであるが、1週間も経てば名乗ることも忘れていたのだ。
「さぁ、ドクターの所に行きましょう!」
「え、今着たとこだよっもうちょっとここにいたいなっていうか「散歩再開でーす」アドナキエルッ、と…スチュワード、メランサ…!?聞いて?話聞いて!?」
再びズルズルと体が引いて行かれる。
されども、先程のような無理矢理感はなく、少しだけ気が楽になったのだ。
―――その1週間後の採血で逃走するのは言うまでもないが。