第17章 深い謝罪と感謝
「…あぁ」
今、彼の顔を覆っていたレユニオンの仮面はない。
仮面の下は、ただの男。40代ほどの男だった。その頭から伸びるのは白い角。そして腰より下にはこの牢屋の壁と同じくらいに濁った灰色の尻尾が生えていた。
彼も先民で、ここから見る分にはレユニオンと分からない。
「久しぶりだな。さくら嬢。はは、手なんか繋いで。…今日は仲良くこんなところにデートか?」
「…」
「何だ、だんまりか?そんなに怒っているのか?…仕方がなかったんだ。アンタが手に入ればこっちは「貴方を、何とお呼びすれば」!…」
男は、ハッ、と笑うと首を横に振って尻尾をぱたりと揺らした。
「アルガム」
「アルガム、さん」
「捕虜に敬称とはお前は本当に―――っ!!」
「「さくら…!?」」
名前を聞いたと同時に繋いでいた手を離し、地面に膝を付け、そのまま背中を丸めて額を地面につけた。それは人間界でいう最大の謝罪を表す姿勢だ。