第17章 深い謝罪と感謝
ここは、とても寂しい場所だと思う。
看守のオペレーターに会釈をし、その門を越える。
厳重にしているのは敵対している組織を地下に放り込んでいるからだろう。万が一、下から槍で突かれれば崩壊しかねない。寂しい場所と思うのも仕方のない事なのかもしれない。
先行するアドナキエルとスチュワードより少し後ろを歩き、数ある牢屋を横切っていく。
それぞれ部屋の隅にいる者。ベッドの上で眠りについている者。壁を背に立ってこちらを見つめる者。
年齢も、性別もバラバラだが、彼らの共通点は自分が信じる正義に準じて戦ってここに入れられているということだ。
この空間は、何が正しいのか、何が正義なのか―――自分の認識が狂ってしまう、そんな場所でもある。途端に気分が悪くなってきた。
「…あの牢ですね。一応牢屋には術がかけられていますから、囚人が触れれば源石術が発動するので襲っては来ないですよ」
「…」
「…さくら?大丈夫?」
「…大丈夫だよ」
視線を落したまま、言うと、その視界の中に2つの手が入り込んできた。
その手を伝い顔を上げると、2人のいつもの笑みはそこには無く、ただ少し眉間に皺を寄せて私をじっと見ている金色の目と青紫の目があった。
"大丈夫じゃないくせに、嘘を吐くな"
そう言っているように聞こえて、軽く頷き、左右それぞれの手でその手を握った。
スウ、と息を吸ってからいつの間にか止まっていた足を再び動かし歩き出す。目的の牢はすぐそこだ。
客が来ることを事前に知っていたのか、それともただ耳が良いのか。
その牢の主はベッドの上で縁に座り、俯いている状態から顔を上げた。