第17章 深い謝罪と感謝
「優秀な成績を残していた結果だ。主にその指輪で源石術を使え。あぁ、それは右手の人差し指に付けるものだ。…それを持っている限り、お前は術師のようにアーツを放てる。敵が近くに来た時はそのトンファーナイフを使用しての近接術だ。ナイフの振り方を覚えていないとは言わさんぞ」
つまり基本的に源石術で遠距離攻撃をし、近付いてくる敵はトンファーナイフで殴る刺すなどの近接攻撃をしろということだ。
マルチタイプの前衛、ということになる。
「実戦で扱えますかね…私、自分を連れ去ったあのレユニオンの人を切った時、謝っちゃったんですけど」
「あぁ、あのレユニオン兵も驚いていたぞ。レユニオンの兵士は一般人が多い。奴等に話を聞くのもありだぞ」
「!?生きてるんですか?!」
どんな状況でも、突入とは敵を殺すことを指す。…と思ってはいたが、まさか生きているとは思わず、声を荒らげてしまった。
ドーベルマンさんは頷くと小首を傾げて言った。
「それでも抵抗して来たやつは始末したが、お前を攫った奴は往生際が良かった。ロドスは感染者を救済するのが目的だからな。地下牢に収容している」
「…私、会いたいです」
「会うなら必ず一人正規部隊を付けろ。お前ならアドナキエル、スチュワードあたりがいいだろう。…いや、万が一のこともあるな。二人とも今呼び出す。少し待て」
「え、あ、いやでも彼らは何かお仕事あるんじゃ…」
「なに、メランサと共にお前たちは仲良いだろう?…彼女は体が弱いからな。あの場所には向かないが、2人いれば十分だろう。気にするな」
「あ…はい、じゃあ、お願いします」
ドーベルマンさんは、耳のインカムに手を当てると、連絡を取ってくれているようだ。
…一瞬苦い顔をしたのは何故だろう?
「…すぐ来るそうだ」
「(めっちゃ呆れた顔してる…)」
「さくら」
「は、はい」
「これから会うのは、お前を陥れようとした奴だ。二人がいるから大丈夫だとは思うが、お前をそそのかす言葉を投げかけてくるかもしれん。用心しろ」
その言葉にはっとして、すぐに頷いた。
渡された指輪を言われた通り、右手の人差し指に通し、武器を両手で持ちながら二人が来るのを待った。