• テキストサイズ

【アクナイ】滑稽な慈悲

第17章 深い謝罪と感謝



「来たか、さくら」


私の姿を見るなり、目を細めるドーベルマンさんに一礼する。


「はい、ドーベルマンさん。今日は訓練ですか?」

「ん、まぁ違いはない。今日は新人共に固有武器を渡す日でな」

「固有武器?」


頷いて前を見るドーベルマンさんの視線を追う。その先には数人の新人オペレーターが弓や剣を持ってマネキンに対して攻撃動作を繰り返している。


「ロドスに入る前から持っていた者は良いんだが、そうじゃない者は訓練で分かれた職業により、武器を渡すんだ。スチュワードが持っているワンドや、メランサが持っているのもそうだな」

「なるほど」


武器を渡されて訓練しているのだろう。
しかしそこまで言われると、ドーベルマンさんが何故私を呼び出したのかが嫌でも察せられる。恐る恐る聞いてみた。


「…私に、武器をくれるんですか?」

「そうだ。ドクターと相談してな。お前のアーツはあの穴倉から脱出できた時にコントロールができていると判断し、武器を渡すことを決定した」


ついて来い、という風に私を手招きし、デッキの端まで歩いて行く。


「…でも、私はまだ人を殺すことに抵抗があります…情けない事ですが」

「まぁいつレユニオンがまた襲来するかわからない。護身用として用意したものだ。受け取れ」


ドーベルマンさんがベンチに置いている得物を私に差し出す。ズシリ、と手に掛かる負荷と共に、また源石の存在を感じて血が早くなるのを感じた。


「お前は職業を前衛とする」


渡された武器は、カーディが使っていたようなトンファーナイフだった。それも2本。それと、小さな指輪。

それを見て目を見開いた。

/ 216ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp