第16章 第三者の狼
「っ…いてて…」
毎朝の採血が日に日に煩わしい。あのヘタクソな研究員が担当することが多くなってきたのだ。何の嫌がらせか。私の堪える姿がそんなに面白いのか。
既に両腕に出来た青い痣のせいで、ここからはもう血液を採れないと判断され、最近は手首から針を通すことになっている。
それももう右手首が青痣になっていて、今日は左から採られたのだが、きっとこれももう痣になるだろう。勿論、見せられたものじゃないため、関節の時から七分袖を着ているのだが、もう長袖に変えなければならなさそうだ。
「はぁ」
「さくらさん、どうし、ましたか?」
心配と遠慮が混ざったようなか細い声が前から聞こえた。