第14章 密室で君を知る
やがてコンテナの中まで押し返した体がトン、とコンテナの奥の壁に着いた。
暗くても、サンクタの輪が光っているせいで表情が分かる。まだ、笑っている。
「そう笑ってられるのも今の内、だよ!!」
やがて彼の手を顔の横に貼り付けることに成功した私は同じように笑ってみせた。
「でもどうするんです?両手が塞がってちゃ、タグは取れませんよ?」
「手は要らないんだ、よっ!!」
「!」
右腕の赤いタグに向かって顔を近づけた。
私の思惑に気付いて押し返す頃にはもう遅い。赤いタグを噛み、身体を引くことによってマジックテープが剥がれ、地面に落ちた。
「はは。じゃあね!!」
「…」
アドナキエルの顔は俯いていてわからなかったが、ストンと座ったところからして悔しかったのだろうか。
兎に角、逃げなければ。
5、4、3―――
10秒を数えながら地面を蹴っていく。
2、1、0―――
瞬間、異質な気配が近づいてくるのが分かった。
「(必死なのはどっちだよ!?)」
後ろからアドナキエルが追って来ている。
これはすぐに追いつかれると、コンテナの上から降り、建物の中に体を滑り込ませた。
どこかに隠れないと、と右往左往していると金色の光が見えた気がした。
これは、捕まる―――
そう思ったその時だった。