第14章 密室で君を知る
立ち上がった彼の腰についている籠はいっぱいにまで青タグが入ってある。明らかに先程の鬼の倍はある。力は先程の鬼よりは無いだろうが、瞬発力と足の速さは断然上だろう。
逃げられる手段とすれば、あの赤タグを盗る以外ない。
「行きますよー」
「!ッう…!?」
トン、と地面に降りると、その足に加わる力を糧にこちらに向かって来た。予想通りの速さに、地面を蹴り引こうとしたが、一歩下がれば三歩は詰められて目と鼻の先で金色の目が嗤った。
「ッこの…!!」
伸びて来た手が青タグに触れる前に手を払いのける。僅かにアドナキエルとの空いた隙間から体を滑らせて距離を取る。
「わぁ、体の流し方はどこで習ったんですか?興味ありますね」
敵に回したくないトリッキーな動き。行って欲しくない場所を完全に塞ぎ、退路を一つずつ消していく。それはきっと訓練で習った事なのだろう。
だがこの勝負、ようは捕まっても青タグ盗られなければいいのだ。
その手さえ防いでしまえばいいだけだ。そう思い、相手の掌に自分の掌を合わせるように抑え込んだ。
逃げられないように相手の手の甲まで回った指に力を入れながらぐっと手を握る。
「どうしてそんなに必死なんですか?」
「絶対君を50週させたいから、ね…!!」
「なるほど。にしても力強いですね」
グ、と体に力を入れてアドナキエルを壁側に詰めていく。
通常ならば力で勝るとは思わないが、今アドナキエルは手加減しているのだろう。つまり、今の私に勝てると思って嘗めている状態だ。
それを利用する―――