第13章 凍った蠍の火
「あの建物は色々なものを展示している博物館なんだけど、珍しいことに星を展示する博物館でもあるんだ」
「何それ!めっちゃ気になる」
「僕は星に詳しくないから、一昨日は説明できなかったけど…ここなら詳しく見れるかなって。最初に見た星空からずっと連れて来たかった」
パタリ、と雪色の尻尾が力無く揺れた。
言い方や声が徐々に低くなって、誘い方に自信が無いのは、ここ最近ずっと星の事ばかりでさくらが飽きたんではないか、と不安があったからだ。
だが、そんな不安はすぐに左手が手錠が音を立てたと同時に消えた。
さくらが立ち上がり、スチュワードの左手を右手で掴んだのだ。
「早く行こうよ!次実物見る時、あの星だってなるだけで興奮する!」
「…はは。よっぽど好きなんだね。…了解、じゃあ行こうか」
スチュワードは立ち上がり、さくらより前を行く。理由は軽く染まった頬を見られたくないため。隠すように右手でクシャリ、と髪を握った。