第5章 気づくのが遅い二人_
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あれから、数時間
俺たちは、何件か忘れるぐらいの中華料理屋をめぐった
多分、一日でこんなに中華料理屋を訪れたのは、俺たちぐらいだろうと思うほどに。
「さぁ!どんどん食ってくれ!」
「……」
目の前には、料理の山
先程食べた物と変わらないものが並んでいるが…
何個、同じのを食べればいいんだよ…
もう、次だ!と言われても慣れてしまった
つっこむ気力もないよ…
「おぉ…これはまた美味しそうだな〜」
いや、もう匂いだけで吐きそう…
「えっと…サブ長…俺ら、もう…」
「いいか、ここは卵とじの焼きそばが絶品でな。
こないだ四学年同士で…」
仕方ない、食べるしか…
横にいる原田と目を合わせ一皿目をとる
「俺の奢りだからな!
残さず食ってくれ!」
「いただきます!」
そんな威勢よく食べ始めたのも続く訳もなく、俺たちの胃袋は既に限界を超え悲鳴をあげていた
「うぅ…」
「何をしている!
箸が止まっているぞ!」
いや、もう無理だよ…
ここ、何件目だよ…
「近藤くん、原田くん
ここのレタスチャーハン美味しいよ」
死んだ顔をした俺たちの目の前に、食べかけのレタスチャーハンを持ってくる沖田
「がっはっはっ!
そうだろ、そうだろ!」
それを見て、嬉しそうに笑っているサブ長
いや、この二人おかしいだろ…
あんだけ食べておいて、なんで普通の顔していられんだよ
沖田に関しては胃袋どうなってんだ?
「のんびりしていると、俺と沖田で全部たいらげてしまうぞー?」
いや、寧ろそうしてくれ…
「ほれ、沖田、近藤の分も食ってやれ」
「わぁーい!」
そう言って、俺たちの分まで食べ始める沖田
「ほれ、原田の分も食ってやれ!」
「これも食え!」
「これもだ!」
そんな事を言われ続け、どんどん、沖田の前に料理が積み上がっていく
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