第4章 学んだこと_
・
「次の点検は一二三〇…
もうお昼になっちゃうね…」
「あぁ…」
「もう外出諦めようか…」
弱々しく沖田がそんな事を言ってる
「バカ言うな!
このまま閉じこもりきりでいいのかよ!
外出せずにこんな厳しい生活を来週も続けてみろ!
もう心の拠り所はなくなって、辛いことしか思い出せなくなる」
そう言われ、毎日の日々が思い返される。
坂木部屋長の怒号
武智先輩の“不備”の声
ゴリラの朝の大合唱
うん、無理だわ
「ここで力を出し切らないと、今後…俺たちは何も出来ねぇんだよ!」
沖田の肩を持ちながら泣き叫んでいる原田
そこまで言うことか?
原田のオーバーリアクションに、少し笑いそうになりながらもピカールを終える
すると同時に、校内放送が流れた
「臨時外出点検を〇九四〇に行う
外出希望者は各中隊ごとに舎前に集合せよ」
「臨時だって!」
「よし、今度こそ!」
完璧なはすだ!
しかし__
「ピカール不備!」
「ホコリ不備!」
「プレス不備!」
そして、武智先輩が俺の前に来た
つま先から頭の先まで舐め回すように見てくる。
そして、俺の顔の目の前で止まり、顎に手を当てながら何か考える素振りを見せた
なんだ…?完璧なはず…
「目の輝き不備!」
………は?
部屋に戻ると後ろで沖田と原田の嘆いている声が聞こえた
だが、俺はそれどころじゃなかった
なんだよ、目の輝き不備って…
「おい!みんな!」
悩んでいた時、武井が慌てた様子でトイレから戻ってきた
「今、トイレ行ったら…洗面所でサブ長が…!」
武井にそう言われ、皆でトイレに向かうと確かに武井の言う通り、髪の毛をセットしているゴリラの姿があった
気の所為だろうか。
鼻歌歌ってないか?
「あぁ…整髪料びちゃびちゃ…」
「坂木部屋長じゃないんだから…」
坊主の頭に、びちゃびちゃになるほど整髪料をつけているゴリラ
どっか行くのか?外出か?
「ま…まさか!女とデート!?」
「えぇ!サブ長に彼女いるの!?」
「メスゴリラ!?」
いや、みんな普通に酷いぞ
・