第4章 学んだこと_
・
外出点検__
防大では外出の際に制服の着用が義務付けられており
身だしなみに不備がないかの点検がある。
これに受からなければ外出することはできない。
「っ…」
俺たちが舎前に着くと既に、沢山の一学年の姿があった。
中隊週番の武智先輩がやってき、ついにドキドキの点検が始まった。
「なんだこのヨレヨレな服は!
プレス不備ぃ!」
「ホコリがついてる!
ブラシ不備ぃ!」
「反射が甘い!
靴の磨き不備!」
あちらこちらでそんな声が聞こえる。
「爪不備!長い!」
隣の沖田が注意されているのが聞こえる
顔には、そこまで?と書いてるように見えた
そしてついに、俺の番がやってきた。
ジーッと見つめられる
いや、距離が近いって…
そして、武智先輩の顔が襟元までやってきた時だった
武智先輩の目が光り、俺の襟章を指さしながら叫んだ
「ピカール不備ぃ!」
「ッ!」
「次回は、〇八三〇に実施する!
解散!」
そう言われ、各自部屋に戻る。
部屋に着いた瞬間、緊張の糸が切れどっと疲れが押し寄せてきた。
「いつもの服装チェックより厳しい!」
「またプレスのし直しかよ…」
後ろで武井と原田が嘆いているが、俺は気になって仕方なかった。
ピカール不備?
磨き不備じゃないのか?
なんで商品名を言うんだ?
そんな事を考えつつも外出の為に、また一からやり直した。
そして、時刻は〇八三〇
再び、外出点検が行われたが、そこでも先程とさほど変わらない内容だった
「プレス不備!」
「ピカール不備!」
「靴の磨き不備!」
「ブラシ不備!」
まるで、流れ作業かのように“不備”という言葉が、あちらこちらから聞こえてくる
「不備不備不備不備!
口がおかしくなるぜ!
お前ら、やる気あるんか!
本気で外出したいなら全力で来いや!
命をかけた着こなし見せいや!」
先程から、不備しか言ってなかった武智先輩がそう叫んでいる
「解散!」
点検が終わり、再び解散の合図が出される
・