第3章 目の付け所_
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「敬礼が甘ーい!!
四学年と一緒なら許されると思ったか!」
昼食後、すれ違った三学年に敬礼が甘いと怒鳴られる
隣では、沖田が涙目になりながら下を向いている
「各自、314号室まで反省文を20枚提出!」
反省文か…最悪だな
「先いくぞ」
「お前らが悪い」
怒られてる俺たちの後ろを、坂木部屋長と西脇サブ長が通っていく
「特にお前!
貴様は30枚、提出だ!」
「ぇ…!」
突然、俺の方を向きそう言う目の前の人物
なんで俺だけ30枚なんだよ…
長かった注意が終わり、沖田たちと共に部屋に戻ると
今度は部屋が荒らされていた
先に戻った部屋長の仕業か?
「これじゃあ、何度直してもキリがないよ…」
心の内を漏らすように呟く沖田
確かにそうだ。
どんだけ綺麗に直しても、数時間もすればまたぐちゃぐちゃになってる
しかも、気のせいか俺の所だけは特に酷い
こんな事ばかり繰り返して一体、何になるって言うんだよ…
清掃についての反省文、20枚
敬礼についての反省文、30枚
その他の反省文 40枚
どんどん反省文が積み重なっていき、圧倒的に時間が足りない
風呂は諦めるしかない
夜ご飯も抜こう
結局、松平先輩に買って貰った参考書も読めてない
「近藤がイライラしてるの初めて見たな」
「う…うん。
なんか僕らより酷い量反省させられてるみたいだし…」
後ろで沖田と原田の会話が聞こえてくる
「っ…」
こんな勉学でもない事をやらせて、部屋長、サブ長、先輩方は一体何を考えているんだ?
分からない事は俺に聞けって言った松平先輩__
入校式後からというもの何があったのかやたら、死んでるし
『でも、サカキ先輩、怒ってても一応、理由や根拠を指摘してくれるよね』
『にしたって、言い方ってもんがあるだろ…』
ふと、朝食時の沖田との会話を思い出す
理由や根拠を指摘してくれる…?
聞こう
坂木部屋長なら答えてくれるはずだ。
そう思い、立ち上がると、後ろにいた沖田たちが慌てて俺の腕を掴んできた
「ヤバい!近藤がキレた?
よせって!」
「ダメだよ!近藤くん!」
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