第3章 目の付け所_
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昼食時も、一学年が先輩のご飯を用意しなくてはいけないので走らなければならない
「坂木先輩ってめちゃくちゃ怖いよね」
茶碗を片手に後ろにいる沖田が呟く
「まさか近藤のベッドまで飛ばしてくるとはな」
「あぁ」
「やりすぎだよ。全力すぎ。」
そう言うと後ろで箸を並べてた原田が微笑しながら呟いた
「いや、あれ一人じゃ無理だろうし何人かでやったんだろ」
「でも、防大にいる先輩たちって全員常人じゃないから。
きっと__」
多分、この場にいる3人が同じ事を考えたであろう
一人で俺のベッドを持ち投げ飛ばす坂木部屋長姿を。
もちろん、奥にはバナナを片手にそれを見ている西脇サブ長も忘れずにね。
「いやいや!無理だってば!」
原田のバカでかい声でハッと現実に戻る
「いや、でもあの先輩ならやりかねない…」
そうだ、西脇サブ長はまだしも坂木部屋長の姿は安易に想像できた
「でも、坂木先輩、怒ってても一応、理由や根拠を指摘してくれるよね」
「にしたって、言い方があるだろ
怒ってないと死ぬんじゃね?
まさに鬼の坂木」
そんな事を話していると坂木先輩たちがこちらに向かってくるのが見えた
「食事、始め!
いただきます!」
全員が揃ったのを確認すると一斉に食べ始める
「…不味そうだな…」
ボソリと呟く坂木部屋長
「ぇ…?」
そう言って手本を見せてやれとサブ長に言う
途端、西脇サブ長が何故持ってたのか分からないエプロンをしながら、ご飯を盛り付けし始めた
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