第3章 目の付け所_
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パパラ パパラ パパラというラッパ音でハッと目が覚める
「…ゆ…め…?」
「起床だ!起きろ!」
西脇サブ長のドスの聞いた声が部屋中に響き渡る
そうだ、俺…防大に…
横を見ると、西脇サブ長に胸ぐらを掴まれている沖田がいた。
その隣には、忙しそうに部屋中を駆け回っている原田。
「いいか!
毛布とシーツは前に教えた通りしっかり畳んでから外に出ろよ!」
上裸の状態で叫んでいる西脇サブ長
あぁ、身体中が痛てぇ
筋肉痛だ…
そりゃあ、昨日あんだけ腕立て伏せをやったらそうか…
約3分でシーツを畳み乾布摩擦の為、舎前へ急ぐ
「オラぁ!急げ!
ラッパが鳴ってから5分以内に舎前に集合だ!」
俺の後ろで走りながらそう叫んでる西脇サブ長
『走りなさい!
廊下は戦場と思いなさい!』
聞き覚えのある声がし横を見るそこには、タオル片手に走ってる姉ちゃんがいた。
なんでそんなに元気なんだよ…
昨夜、あの後、他の奴らの所も行って腕立て伏せやってたよな?
疲れないのか?
「やっぱり昨日のは夢じゃなかったね…」
苦笑しながらそう言う沖田
俺だって、夢が良かったよ
こんなにキツイなんて聞いてなかったし…
「怒鳴られ続きで耳がおかしくなってきたぜ…」
耳を擦りながらそう言う原田
夢も現実も地獄だな
そんな事を考えつつ舎前に着く
既に、上級生は集まっており声出しを始めていた
「号令調整かかれー!」
坂木部屋長の声かけと共に一学年が二学年の方を向き
声出しが始まる
「気をつけ!」
「かしらぁー!中!」
「っす!っれー!すめっ!」
そんな声があちらこちらで聞こえる
にしても、上級生は慣れているのか何を言ってるのか全く分からん
もうワザと言ってんじゃないか?
「声が小せぇぞ!腹から出せ!
聞こえねぇぞ!腕立て用意!」
隣の大隊も厳しいんだな。
「各小隊、別れ!」
解散の合図が出されダラダラ戻ってると再び、罵声を浴びさせられる
「終わったら掃除だー!
急げー!走って移動しろ!」
朝食の前に舎内の掃除があるんだった…
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