第2章 乗り越えた先に_
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入校式も終わり、両親と合流する
俺を呼ぶ声を聞きながら両親のもとへ向かった
「ねぇねぇ、華保姉ちゃん元気?
なんでここにいないの?」
「ん、あぁ、何かやる事があるって言ってた。
母さんたちによろしくって。」
「そう…」
俺の言葉を聞いて母さんが残念そうな顔をした
でも、俺は知ってる。
姉ちゃんは自分がいない間に母さんは再婚したから、新しい父親に会うのが気まずいのだろう。
俺たちは2年一緒にいた為初めは戸惑ったが、もう普通に話せる
「また、言っとくよ」
俺が一言、そう言うと安堵の表情を見せる母さん
そうだよな、去年の夏休み以来会ってないもんな…
「じゃあ、勇美、頑張れよ」
「お姉にもよろしくねー!」
「あぁ」
両親と妹に別れを告げ俺は舎内に戻った
既に、沖田と原田は戻っており、西脇サブ長が俺を見つけると駆け寄ってきた
…坂木部屋長はいないのか?
「二人とも〜!
両親への挨拶は済んだか?」
俺と沖田の肩に手を置きニコニコ笑いながら、問いかけてる西脇サブ長
「あ、はい!お陰様で!」
「うんうん!入校式で防大生としての自覚が湧いたろ?
気を引き締めたところで…さぁ!」
_お客様の時間は終わりだ
「ぇ…?」
西脇サブ長のそんな声が、この部屋に響いた。
やけに声が低い。
サブ長の顔を見ようとするが、光が影になって西脇サブ長の顔が見えない
だが、明らかに笑ってはいない事は確かだ。
疑問を感じた瞬間だった。
ジリリリリ!!とけたたましいしベルの音がこの舍内に鳴り響いた
「なっ…!」
その瞬間、あちらこちらで叫び声が聞こえた。
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