第2章 乗り越えた先に_
・
バシッと指示棒を壁に叩く音が聞こえる
「一人の失敗は全員の責任だということを忘れるな!」
坂木のその言葉が応えたのか。
少しずつ、腕立ての姿勢を取り始める学生が現れる
沖田学生の対番。
井上学生の腰に足を乗せながら坂木は叫んだ
「これらは決して罰ではない!反省だ!
キチンと指導できない自分を恨め!
嫌なら失敗のないようにしろ!」
そう、これは反省なのだ。
私たちが一学年の時も同じ事をやらされた。
自衛隊で大切なのは体力や賢さでは無い。
団体行動。
つまり、協調性だ
一人が失敗すると、それが全体に響くのだ。
嫌なら失敗しなければいい
ただそれだけだ。
「腕立て20回かかれ!」
うぅ…。と苦しそうな一学年の声を聞きながら、私たちは腕立てを開始した
・