第2章 乗り越えた先に_
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やってしまった。
“大っ嫌い!!”
その言葉が、俺の頭から離れない
出ていった時の表情を思い出すと胸が痛くなる
「…チッ」
「喧嘩ですか?」
「ッ!」
舌打ちをしたと同時に後ろから声がし、振り返ると大久保が立っていた
相変わらず、ヘラヘラ笑いやがって…
何がそんなに面白いんだよ
「彼女、泣いてましたよ?
何を言ったんですか、全く」
泣いてた…?
あいつが泣いてる所なんて…見た事…
はっ、山下の言う通り本当に最低かもな
「早く仲直りしてくださいよ?
中立に立つ僕の身にもなってk…」
「…近藤学生を知ってるか?」
気付けば、大久保の言葉を遮ってそんな事を言ってた。
大隊週番付のこいつなら何か知ってるかもしれない
「近藤学生?
あぁ、貴方の部屋っ子の…」
「あいつの事でちょっとな…」
「なるほど…。
そう言えば、近藤学生って…」
左手を顎に添えながらそこまで言うと突然、大久保の動きが止まる
「…貴方まさか嫉妬したとかじゃないですよね?」
青い顔をしながらそう聞いてくる大久保
「あ?」
「いや、だって…え?近藤学生は…」
何か、知ってるかのように俺の方をみる大久保
「何だよ。」
「へぇ…なるほど…ふーん。」
俺の顔を舐め回すように見てくる大久保
なんかムカつくな
「なんだ、言え」
「…いえ、私の口からは何とも…
とりあえず、早く仲直りをして下さいね」
そう言って、ミーティング室から出ていく大久保
窓の外を見ると、近藤学生が家族に手を振っていた
…イライラするな…
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