第2章 乗り越えた先に_
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私と隣室の部屋長がミーティング室に到着すると既にほとんどの部屋長が集まっていた
そして、部屋長全員が集まった事を確認すると一大隊の部屋長、全員での話し合いが始まった
そこには、坂木や大久保の姿もある
「ここはもう少し__」
「116号室の松田だが__」
淡々と話が進み、1時間程で話し合いは終了した
次々と部屋を出ていく中、私は、坂木に呼び出された
その瞬間、あぁ、またか
そう思った
そう、“あの日”から坂木は毎日、私に岡上学生の事を聞きに来るようになった
いや、悪気はないんだと思う
けど…だけど…なんか嫌だ
岡上学生だけを特別扱いする坂木が許せなかった
好きなら好きで言えばいいのに
みんなに平等に接する坂木はどこにいったんだ?
「…岡上学生はどんな感じだ?」
『別に…昨日と変わりないよ
今日まで特に問題はなかった
制服の着こなしも申し分なし
客観的に見てもとてもいい子だと思う
それに__』
あぁ、ヤバい、止まらない
『可愛いし性格もいいから坂木にはお似合いだと思うっ!』
言った…
言ってしまった…
私がその言葉を言った瞬間、静寂が訪れた
坂木の方を見ると口を開けたまま固まってる
「…っ…」
…否定…してよ…
なんで何も言わないの?
やっぱり認めるわけ?
その方が辛いけど言わずにはいられなかった
暫し、沈黙が流れたが耐えきれず先に口を開いたのは私だった
『…っ…好き…なんでしょ?
岡上学生の事が…』
坂木の方を見ると、何も言わずただ下を向いてる
『…この一週間ずっと岡上学生の事聞いてくるし好きなんでしょ?
そうなんでしょ!』
そこまで言うと坂木はようやく口を開いた
「お前…それ、本気で言ってんのか?」
そう言われ、ジリジリと距離を詰められる
挙句の果て、私の背中には壁が。
あ、ヤバい、怒ってる…
そう気付いたのと同時に鈍い音がし坂木が、私の顔の両脇に手をついた
いわゆる壁ドンってやつだ
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