第1章 これはきっと何かの間違い_
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着校日から早くも二日が経った
その日は特に何もやる事はなく部屋で本を読んでいた
本当なら体力をつけたい所だが、お客様がいる前で腹筋やスクワットをする訳にもいかない
という事で、本を読むしかない
だが、そろそろ読書も飽きていた
乙女ちゃんたちは対番のところだしこの部屋には今、私と志織だけだ
ボーッとと窓を見ていた時だった
コンコンコンと扉がノックされ、返事をする前に誰かが入ってきた
誰だよ…。と思い後ろを向くと鬼の坂木が立っていた
突然の訪問に志織は目を大きく開けて固まってる
「…山下…今暇か?」
私?
何か用事があるのだろうか?
わざわざ、女子部屋まで来たのだ
きっと、何か事情があったのだろう
断るのも悪いし特に用事なども無い
『…暇だけど…』
本を閉じながらそう答える
「話があるんだが…」
そう言われ、喫煙所の近くまで連れてこられる
あ、ここ、勇美と話した所だ
そんな事を思いつつ、坂木を見てた
話ってなんだ?
私なんかしたか?
暫し、沈黙が訪れ先に口を開いたのは私だった
『…っ…話って…?』
そう言うと坂木が突然呟いた
「岡上学生…」
『え?なんて?』
「…っ…岡上学生はどんな感じだ?」
『…は…?』
岡上学生…?
あ、乙女ちゃんか
『どんな感じって言われても…
あ、敬礼が凄く綺麗だった
知り合いに防大生がいるのかなってぐらい
私たちにも配慮してくれて凄く良い学生だよ』
そこまで言うとホッとしたようにそうか…。と呟く坂木
それを見た瞬間、自分でも分かるぐらい傷ついた
ん?
何に傷ついてんだ?私は
別に好きなら好きでいいじゃないか
現に、岡上学生は可愛い
一学年の中で、一番可愛いと噂されたいるようだ
いくら鬼と言われても坂木も所詮男だ
可愛い子には目がないだろうし別に普通のことだと思う
なんて、カッコつけたつもりでそんな事を考えていたが、内心は気になって仕方なかった
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