第1章 これはきっと何かの間違い_
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静かに扉を閉め隣の寝室の前に立つ
コンコンコンと3回ノックをし中に入る
中には、あいつの対番であろう松平学生とあいつがいた
私の姿を見るなり松平学生は驚いた顔をし、すぐに敬礼をしてきたがそんな堅苦しい事しなくていいよと言うとホッとしたように腕を下ろした
「ッ!姉ち…っ!」
近藤学生の方を見ると咄嗟に“姉ちゃん”と言おうとしていたので、睨みを利かせると慌てたように口を閉じ下を向いてしまった
「松平学生、少し近藤学生を借りてもいいかな?」
そう言うと、少し驚いた顔をしたがすぐに“どうぞ!”と言って寝室から出ていった
ここじゃ、なんだからと言って私たちは玄関先まで移動した
当然ながらどこを歩いてもお客様で溢れていた
入校式までの期間しか見られない貴重な瞬間だ
PXもいつの間にか新入生と二学年の集いの場になっているし、お客様がいる時だけ!と女子部屋に覗きに来る学生もいる
まぁ、皆浮かれているという事だ
あまり人がいない喫煙所近くまで近藤学生を連れてくる
ここに来るまで何も言わずに着いてきていた近藤学生だが、誰もいない事を確認するとすぐに“姉ちゃん!”と呼んできた
「久しぶり、勇美」
そう言うと安堵の表情でこちらを見てくる勇美
やっぱり変わってないな
「ここでは他人のフリしなくてもいいよな?」
「ん、大丈夫だよ」
そう言うと安心したようにこちらを見てくる勇美
「ったく、焦ったんだからな急に他人のフリをしろとか」
「ごめんごめん、兄弟ってバレたくなくて…
ほら、色々めんどくさいじゃん?」
そう言うとなんだよ、その理由。と言ってこちらを見てくる勇美
さて、本題に入るか
「ねぇ…なんで…防大に入ろうと思ったの?」
そう尋ねると、先程とは目付きが変わり決意した目付きでこちらを見てくる勇美
「何か…大きな事をやり遂げたいと思って…」
高校三年生において、もうそこまで考えていたとは…
いや、決して早くはないが一年程会ってなかったからかその言葉を聞いて私は我が弟ながら感動してしまった
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