第13章 囮捜査って禁止されてるよね
<囮side>
「新八くん、聞いてもいい?」
「え、はい」
「デートって、どうすればいいの?」
真顔で聞かれ、新八の動きが止まる。
「私、デートってしたことないから……調べてみたけど、よくわからなくて。カラオケだと囮の意味ないし、お昼はもう過ぎちゃったし……」
「え、あ、そうか、そうですよね!」
うっかり色々想像してしまった新八は慌てるが、遼は特に気付いた様子もなくキョトンとしている。
「新八くん、何か良い案ないかな?」
「へ、あ、そうですね、ゲ、ゲームセンターなんてどうですか!近くにありますし!」
「私、行ったことないから案内してもらっていい?」
「はいっ、勿論」
手を繋いだまま、二人は歓楽街へと移動し、目についた一番大きなゲームセンターに入ると、店内を歩いて回った。
お互い店内を回りながらも、不審者や死角を確認しながら違和感を探す。
「今のところ、問題なさそうだね」
「そうですね。じゃあ、暫く時間を潰しましょうか」
「あ。じゃあ、プリクラ撮りたい!」
「プリクラですか?」
「うん。実は撮ったことなくて。前に神楽ちゃんに見せてもらってから、いいなって」
「僕とでいいんですか?」
遠慮がちに尋ねた新八に、遼は笑顔で「新八くんとがいいんだよ」と答えた。
その瞬間、新八の耳につけたイヤホンがサザッ音を立てる。
『切腹しろ』
『バカかお前は!ちゃんと指示しやがれ!!』
明らかに揉めている声に、新八の顔が引き攣った。
果たして彼らは今回の主旨を理解しているのだろうか。
「新八くん。
何か指示がきたの?」
「いえ。じゃあ撮りましょうか、プリクラ」
説明を見ながら操作した二人は、プリクラ機の中に入り、思わず「おぉ」と声をあげた。
「思ってたより広くて明るいね」
「そうですね。えっと、ここでいいのかな?」
「あっ、もう始まっちゃう!」
二人で慌てて指示をされた場所に立つと、遼は新八と腕を組み、笑顔でピースサインをする。
当然新八に笑顔を作る余裕はなく、表情が強張ってしまった。
(というか遼さん、近いっ!近いですっっ!う、腕に当たってるぅぅぅぅっ!!)
柔らかい感触に、新八はわかりやすく動揺する。
はしゃいでいる遼は気付いていないが、いつもよりも距離が近い。