第13章 囮捜査って禁止されてるよね
「一応囮捜査だからね、監視が気になるかもだけど、ごめんね」
「いえ!そんな!」
謝る遼に新八は首を横に振るが、その際はっきりと見えてしまった。
(監視ってライフルで?!っていうか、ピンポイントで僕に照準あってるんですけど!!)
殺意100%の監視に、新八は心底不安になる。
そんな新八を緊張していると勘違いした遼は、「手、繫いでいい?」と新八の手を取った。
瞬間、草叢から湧き出した殺意に引き攣りつつも、役得だと遼の手を握り返した。
「じゃあ、行きましょうか」
「うん。と、その前にこれ付けてもらえる?」
遼は胸元からワイヤレスイヤホンを取り出すと、新八の片耳にとりつけた。
「これで緊急時には指示がくるから。煩わしいかもしれないけど、外さないでね」
「はい。でも遼さんは?」
「沖田さんに、お前はすぐに顔に出るからつけるなって言われちゃって……だから、指示してもらっていいかな?」
「わかりました。僕に任せて下さい」
「ありがとう。お願いします」
微笑んだ遼に新八の顔がだらしなくなっていると、突然イヤホンから指示が流れた。
『ウンコしろ』
『バカ総悟!テメェ何やってんだ!』
『だって見て下せぇ土方さん。奴のあのだらしない顔。いいからさっさとウンコしろ』
『今何やってるのかわかってんのかオメーは!』
イヤホンの向こうで揉める声に、新八は疲れがどっと増すのを感じ、せめて今日一日が無事に終わることを静かに祈った。