第13章 囮捜査って禁止されてるよね
呆れたと肩をすくめる新八に、銀時は唇を尖らせて「そうだけど~」と遼から顔を背ける。
「そんな顔してもキモイだけですから。と言うわけで遼さん、依頼は受けますよ」
「ありがとう。新八くん」
「いいえ。どうせ銀さんの仕事になりますから」
「え?」
きょとんとした顔をする遼をよそに、新八は当然と言った顔で「ちゃんと仕事してくださいよ」と、銀時をせっつく。
「しゃーねぇなぁ」
「ちょっと待って!」
話を進める銀時達を、遼は慌てて制止する。
「この件は、新八くんにお願いしたいの!」
「は?」
「え?」
「マジアルか!?」
三人の驚き様に「何か見た事あるな」と思いながらも、遼は頷く。
「なっなななっ、何で僕が!?」
「いや、かな?」
「滅相もない!」
首を横に振る新八に、遼は「良かった」と微笑む。
「ちょいまち!」
「何、銀ちゃん?」
折角話がまとまりかけていたというのに、銀時は身を乗り出すようにして話を遮った。
「何で新八なわけ?」
「だって銀ちゃんと私じゃあ、兄妹にしか見えないもん。それだと囮の意味ないし」
「そんな事ねぇって。俺と遼が一緒に歩いてみ?
お前アレだぞ。ベストカップル的なアレだぞ」
「銀ちゃ~ん、往生際が悪いアルよ」
「当たり前だ!
新八なんかに遼をやってたまるか!」
「何か娘を彼氏に取られた父親みたいアル」
呆れた神楽は溜め息と共に茶をすする。
「新八は彼氏じゃありませんー。ただの眼鏡ですー」
「僕の存在価値それだけですかっ!
…て言うか銀さん、子供みたいな事言わないで下さいよ。遼さんが困ってるじゃないですか」
見かねた新八が溜め息と混じりにそう告げると、銀時はちらりと遼の方を見て肩を落とした。
「わかったよ!わかりました!!」
「やっと諦めたアルか。本当、しつこい男だな」
「お前っ、標準語で言うんじゃねーよっ!より傷つくじゃねぇか!」
渋々納得した銀時に、新八はやれやれと肩をすくめる。
「じゃあ遼さん、依頼の詳しい内容をお願いします」
「あ。うん。あのね……」
かくして万事屋の面々(主に新八)は、カップル連続殺傷事件の囮捜査に協力する事となったのである。