第3章 万事屋銀ちゃん
嬉しそうにはしゃぐ神楽に、遼は「じゃあコレあげるね」と、先ほどコンビニで買物した袋を神楽に渡した。
「なにアル?」
「一応、手土産かな」
「おーっ!お菓子いっぱいアル!!す、酢昆布が五箱もあるネ!すごいヨ、今日は酢昆布祭ネ!」
はしゃぐ神楽は、勢いのまま遼に抱き着く。
「わっ」
「大好きアル!今日から私と遼は友達アル!!」
「ありがとう」
懐いてくれるのが嬉しくて、遼も神楽を抱きしめる。
「お~い、女同士でいちゃいちゃすんな」
「羨ましいアルか?」
にやりと笑った神楽に、銀時は露骨に顔をしかめた。
その表情に満足したのか、神楽は遼の手を引いて室内に連れて行く。
「早く入るネ」
靴を脱ぐのももどかしいといった様子の神楽に、遼は嬉しそうについていく。
「神楽ちゃんは、酢昆布以外に何が好き?」
「ごはんですよアル。後はふりかけと…」
楽しそうに遼に話し掛ける神楽に少し驚きつつ、銀時は二人の向かいに座る。
「で、神武さんはどうして万事屋に?」
お茶を出し終えて銀時の隣に腰を降ろした新八に尋ねられ、遼は「遼で良いよ。私も新八くんって呼ばせてもらうから」と笑顔で前置きし、銀時に向き直った。
「銀ちゃん、「真選組」って知ってる?」
「あー、あのヤクザな」
「いや、あんたの方がよっぽどヤクザな商売してるじゃないですか」
「あのサディストに何かされたアルか!?」
つまらなそうに答える銀時と対象に、必死の形相で自分に詰め寄る神楽に、遼は「知り合いがいるの?」と首を傾げる。
「アイツらは敵アル!」
「え…」
「ああ、本気にしないで下さい。ただちょっと腐れ縁で…銀さんも神楽ちゃんも、個人的に反りが合わないだけなんです」
フォローする新八に、少しがっかりしたような表情で遼は「そっか」と笑う。
「で、真選組にどんな用事なんですか?」
すっかり興味を失った銀時に代わって、新八が尋ねると、遼ははっきりとした声で「真選組に入隊したくて」と答えた。
「なっ!」
「正気ですか?!」
「自殺行為アル!」
「え、や、いや…」
目を剥いて驚く三人の様子に、遼はあたふたする。