第3章 万事屋銀ちゃん
「遼、考え直せ。警察官になりたいなら、大江戸警察でも何でもいいだろう?」
「そうですよ。何でわざわざあんな…ガラの悪い集団に」
「あんなとこに入ったら、あのサドに何されるかわかんないアル!」
「でも…私の「したい事」は、真選組じゃないと出来ないの」
揺るがぬ口調で答える遼に、三人は表情を曇らせた。
「お前の「したい事」ってのは、何だ?」
「いつか、話すよ」
そう言ってぎこちなく笑った遼に、銀時はそれ以上追究できず口篭る。
それを横目に見ていた新八は、遠慮がちに話を切り出した。
「遼さん、僕たちに依頼をする気はありませんか?」
「え?」
「僕たちは個人的に真選組の局長と知り合いなんです。確実に連絡を取る方法も持ってます」
「何言い出すアル!」
「焚きつけるような事すんじゃねぇよ!」
積極的に遼を真選組に紹介しようとする新八を、銀時と神楽は慌てて止めようとするが、新八に「少し黙ってください」と凄まれる。
「入隊できる保障はありません。けど、僕たちなら…と言うか、銀さんなら、遼さんが無茶をしようとするのを止められますし、僕や神楽ちゃんでも力になれる事があると思うんです」
「それに…」と新八は苦笑して続ける。
「遼さんをあの人たちから守る事も出来ますから」
「新八くん…」
初対面で、素性もわからない人間に対して、当たり前のように「守る」と言い切れる新八に、遼は胸が締め付けられる。
「ありがとう新八くん。依頼、お願いします」
「はい。あ、依頼料って言っても、高額を要求したりしませんから。せいぜい、来週のジャンプ代くらいです」
「安っ!つか、店主の意向無視かよ!」
「本当は無料でも良いんですが…それだと遼さんの気が収まらないでしょう?」
そう言って照れたように笑う新八に、遼は「お金はちゃんと払うよ」と、鞄から通帳を取り出して机の上に置く。
「結構使っちゃって、残り少ないんだけど…」
「あのなー。子供の通帳に期待なんて…」
遼の通帳を開いて固まった銀時に、新八と神楽は首を傾げながら通帳を覗き込む。