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銀色の【銀魂長編夢】

第12章 大切な人を失った


「沖田隊長のハンバーグ、何で目玉焼きが乗ってるんですか?」

自分の皿よりボリュームもクオリティも高い沖田の皿を、山崎は三度見してから尋ねた。

「特別だから」

沖田は事もなげに答えると、さっさと席につき食べ始める。

「えっ、ちょっ、特別って?!」
「一つだけ分けられる状態」
「いや、特別の意味を聞いてるんであって、意味を聞いてるわけじゃ……」
「ややこしい」

言いたいことはわかるが、実に解りにくい表現をする山崎に、沖田はハンバーグを切りながらツッコむ。
そこに、自分のお盆を持った遼がやって来て、沖田の向かいに腰掛けた。

「あ、沖田隊長、ちゃんといただきますしましたか?」
「別にいいだろィ」
「ダメですよ。ほら、いただきます」

手を合わせていただきますをしてみせる遼に、沖田は渋々「いただきやす」と呟く。
その姿に、山崎は顎が外れそうな程驚いた。
気が付いた沖田がじろりと睨む。

「おい山崎、後で稽古つけてやるよ」
「へ?」
「遠慮すんなよ。久々に本気でやってやる」
(こっ、殺されるぅぅぅぅっっっ!!)

恐怖に戦く山崎をよそに、遼は吞気に「私も軽く稽古つけてもらっていいですか」と沖田に尋ねる。

「何でアンタの相手なんてしなくちゃならねぇんでィ」
「いいじゃないですか。って山崎さん、座らないんですか?」
「あ、うん……最後の晩餐になるかもしれないからね、味わって食べるよ」

そう言って遼の隣に腰を降ろそうとし、殺気に気付いて動きを止めた。
殺気の主は、向かいの沖田だ。

(こ、殺されるぅぅぅぅっっっ!ここに座ったら間違いなく殺られるぅぅっっ!)

命の危険を察した山崎は、笑顔を貼り付けたまま「また後で」と、食堂の端に腰を降ろす。

「行っちゃった」
「ほっとけほっとけ」
「沖田隊長が脅かすからですよ」

遼の注意も何のそので、沖田はもくもくと食べ進めていく。

「沖田隊長って、結構子どもっぽいですよね」
「ああ?」
「意地悪だし、すぐ不貞ちゃうし、わがままだし」
「同い年だぜ」
「存じておりますよ」

やれやれと溜息をつく遼に、沖田はニヤリと笑った。
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