第11章 閑話休題
「遼ちゃん、今日はゆっくり休んでいいから。明日は朝一番で大江戸警察に聴取に行っておいで」
「え、あの、聴取は今日だって聞いたんですけど」
「俺の方から連絡しておくよ。もう遅いし、君も疲れただろう」
「近藤さん、言った先から甘やかさねぇで下さいよ」
「まあまあ、総悟ももう休んでいいから。遼ちゃん、もし家に帰るなら、総悟に送ってもらうように。わかったな、総悟」
わかったのかわかっていないのか、総悟は「はいはい」といい加減に返事をすると、部屋を出ていこうとした。
「沖田隊長、どこに行くんですか?」
「メシ」
「総悟、食堂ならもう閉まってるぞ。今日はノー残業デーとかで、いつもより一時間早かったんだよ」
仕方がないと肩を落とす沖田に、見かねた遼は「良かったら作りましょうか?」と声をかける。
「アンタ、料理なんてできんのか?」
「まあ、人並みには。そんなに凝った料理は出来ませんが、空腹を満たすくらいはできますよ」
「ふうん。じゃ、頼まぁ」
「はい。お任せください。では、近藤さん失礼します。沖田隊長、行きましょう」
近藤に頭を下げた遼は、沖田を連れたって食堂へ向かう。
調理場の使用については、以前に近藤と食堂のおばちゃんから許可を得て何度か利用していたので、もはや勝手知ったる状況だった。
冷蔵庫の中身と明日の献立を確認して、使えそうな食材を調理台に並べていく。その手際の良さに、沖田は些か驚いた。今日まで遼が料理ができることは勿論、調理場を使用していることも知らなかったのだ。
そこに、間抜けな声が現れる。
「あれ、遼ちゃん——と、沖田隊長?」
「山崎さん。今帰ってきたんですか?」
「あー、うん。ちょっと万事屋の旦那に掴まっちゃってさ。それより遼ちゃん、もしかして今からご飯作るの?」
目ざとく気付いた山崎に、遼は「山崎さんも食べますか?」と確認した。
「食べる食べる。いやー、晩飯食べ損ねたからカップ麺で済まそうとしてたけど、ラッキーだったなぁ。遼ちゃんの料理美味しいから。あ、何か手伝うことあ——いっ!」
突然沖田に脛を蹴られて、山崎はその場に悶絶する。
「なっ、何するんですか沖田隊長?!」
「別に」