第11章 閑話休題
遼は少しだけ困った顔で笑うと、腕の中で首を横に振る神楽の頭を撫でた。
神楽の優しさや思いやりが嬉しかったのだが、遼もそれを言葉にする術が思いつかなかったのだ。
暫くよしよしと神楽を撫でていると、ばしりと頭を叩かれる。
「おい、遼、随分元気そうじゃねぇか」
「げ、沖田隊長」
「離れろチャイナ」
「ああ゛っ?」
「お前が抱きついてたら、傷が確認出来ねぇ」
その一言に、神楽が渋々離れると、沖田は遼の腕を引っ張って自分の方を向かせた。
「血は出てるが、あんまり深くねぇみたいだな。これなら適当に治療してもらやぁ十分だろ」
「治療って、大袈裟な。放っておいても大丈夫ですよ」
「ついでにその暢気な頭も治療してもらってくるんだな」
呆れた沖田にデコピンをされ、遼は「痛いじゃないですか」と訴える。
「ちゃんと痛ぇんじゃねぇか」
「それは、まぁ……一応、生きてますから」
遼の妙な言い回しに、沖田は一瞬首を傾げるが、その疑問は銀時の怒鳴り声によって掻き消された。
「何で俺が銀行強盗捕まえなきゃならねぇんだよ!ちゃんと仕事しやがれ、チンピラ警察!!」
「あぁ、旦那。協力ありがとうごぜぇやした。おかげで無事、事件解決ですぜぃ」
「じゃあ、出すもん出してもらおうか」
あっけらかんとした沖田に詰め寄る銀時に、遼がやれやれと溜息をついていると、その後ろから現れた山崎が「うわぁぁっ!」と悲鳴をあげる。
「ちょっ、遼ちゃん大丈夫!?血まみれじゃないか!」
「わぁ、新鮮な反応」
「いやいや、何でそんなに冷静なの?結構すごい事になってるよ?!」
「首は傷の割に出血しますから。致命傷は避けているので、お見苦しいでしょうけど意外と大丈夫ですよ」
遼の答えに山崎が若干引いていると、救急用品を持った新八が慌ててやって来た。
「取り敢えず、応急処置だけでもしましょう」
そう言って手を伸ばした新八は、傷を確認すると消毒液を染みこませた清布で傷口を軽く拭う。
「傷口は浅いみたいですね。でもやっぱり、病院に行かないと。傷痕が残っちゃいますよ」
「新八もそう言ってるアル。遼、私も一緒に行ってあげるから、病院に行くヨロシ」
「ありがとう。神楽ちゃん、新八くん」