第11章 閑話休題
良くて建物ごと爆発。悪くて周囲数件を巻き込んで爆発。
回避ルートが見つからない。
遼はリーダー格の男に怖ず怖ずと申し出た。
「あのー、多分真選組に囲まれちゃってるので、早めに降伏するなり逃げるなりした方が良いと思うんですけど」
「何で人質が提案してきてんだ」
「外に居るの、真選組の一番隊隊長なんですが、あの人一昨日もバズーカで建物ごと爆破してやり過ぎだってニュースになってたので……ほら、あの大江戸新聞の見出し」
遼が待合に置いてある新聞を指差すと、部下の男が慌ててそれをリーダーの男に手渡す。
見出しの写真でピースをしながらバズーカを背負った沖田の姿が見え、遼は軽い頭痛に見舞われた。
「本当、容赦ないんです。味方だろうが一般市民だろうが、自己判断でガンガン叩き潰していくんですよ。かつては局長すら犠牲にしようとしたんですから」
遼の進言に、強盗犯達が一気に青ざめる。
「なっ、何でオマエがそんな事知ってんだよ!」
「被害者だからに決まってるじゃないですか」
嘘はついていない。
連日バズーカの音でたたき起こされ、副長補佐見習いというだけで沖田のターゲットになっている遼は、数え切れない程被害を受けてきた。
(思い出したら腹が立ってきた)
昨日だって……と、遼が記憶を掘り起こしていると、俄に外が騒がしくなり、強盗犯達数名が慌てて様子を窺う。
「たっ、大変です!真選組と妙な奴らが揉めてます!!」
「あっ、真選組が殴られた!」
「変なガキが暴れてます!」
「変なガキ?」
強盗犯達の隙間から外を覗くと、何故か大江戸警察や真選組相手に立ち回る神楽と、沖田と何やら揉めている銀時の姿が見えた。
何事かと身を乗り出そうとすると、髪を引っ張られて思わず尻もちをつく。
「お前、何か知ってるな?」
「はあ、まあ」
「人質の自覚あるのか?まあいい、こっちに来い」
腕を引かれて行くと、後ろ手に縛られて入口まで引き摺られる。
「これからお前を盾に真選組の奴らと交渉する。せいぜい怯えて見せるんだな」
「えー、出来るかなぁ、人質役なんて」
「人質役じゃなくて、人質!やる気あるのか!?」
「やる気なんて、あるわけないじゃないですか!」
強気に反論する遼に、犯人達も思わずたじろいだ。