第11章 閑話休題
「おまたせー、出来たよー」
必要以上に明るい声で声を掛けると、待ってましたと神楽が飛んでくる。
「おいしそうアル!」
「すぐに2個目作るから食べて待っててね」
結局大きなフライパンサイズのオムライスを5つ作った所で材料が尽き、遼はやれやれと片付けをして居間に戻った。
「うまかったぜ。ごっそーさん」
「ご馳走様でした。すみません、任せっきりで」
「ごっさ美味しかったアル!また食べたいネ!」
「お粗末様でした。そうだ、今日出かけに聞いたんだけど、大江戸デパートに爆破予告があったみたいだから、気を付けてね」
「デパートなんざ用事もねぇから近付かねぇよ。つーか、気を付けんのはオメェだろ」
銀時に指摘され、遼は首を傾げる。
「あんまりフラフラしてたら巻き込まれるぞ」
「大丈夫だよ。今日は後、日用品とかを買い出しに回るだけだから」
「……じゃあ、付き合ってやるよ」
「え?」
「飯の礼に、ボディガードしてやるよ」
ニヤ、と笑った銀時に、新八と神楽も賛同した。
「銀さんと二人きりなんて心配ですからね。僕もお供しますよ」
「私も行くアル!遼とデートアル!!」
すっかりその気の三人に、遼は「仕方ないなぁ」と苦笑する。
「じゃあ行くか」
万事屋を出て階下に降りた遼は、ちらりと裏隣を見てから悩ましげな溜息をついた。
「どうしたアルか?」
「ううん。それより神楽ちゃん、この辺りに薬局って有ったかな?」
「それなら、もうちょっと向こうにあるネ」
神楽に腕を引かれて薬局に着いた遼が店に入ろうとした瞬間、背後から女性の悲鳴が上がる。
「きゃあぁぁっ!」
「なにッ!?」
振り返ると、銀行から雪崩るように人が吐き出され、口々に「助けて」や「強盗だ」など不穏な言葉を口にしていた。
神楽は既に店の中に入っていて、まだこの状況に気付いていない。
遼は巻き込まれては事だと逃げようとして失敗した。
突然誰かに腕を取られ、そちらに引き寄せられる。
「うえっ!?」
振り向くとそこには、強盗犯の見本のような目出し帽を被った男がいた。
遼を掴んで居ない方の手には、黒々と光輝く──
「けっ、拳銃っ?!」
「黙れ、女!」
銃口を向けられ、遼は慌てて押し黙る。