第11章 閑話休題
慌てて姿勢を正した遼に、近藤は「そうだ」と話を続ける。
「実は、攘夷浪士が爆破予告を送ってきてな。どこかに出掛ける予定なら、気を付けて過ごしてくれ」
「何か、すごいフラグを立てられた気がするんですけど……」
嫌な予感しかしないと、遼は溜息をついた。
「じゃあ、俺たちは見廻りに出るから。何か有ったら連絡してくれ」
「わかりました。お気をつけて」
近藤達を見送って、遼は目的の物を手に自宅へ戻り、今度は万事屋へ向かう。
道中スーパーに立ち寄り、いちご牛乳と酢昆布、幾つかの食材を購入して店を出ると、エリザベスを連れた桂と遭遇した。
「おお、遼ではないか。なんだ、遂に真選組を辞めたのか?
「辞めてないよ。今日は非番だから、万事屋に行こうと思って」
「それでその大荷物か」
「うん。それよりヅラ、脅迫状とか出してないよね?」
「ヅラじゃない桂だ。脅迫状など出してはおらんが……何か有ったのか?」
訝しげな表情の桂に、遼は少し悩んでから打ち明ける。
「爆破予告がきたみたいなの。そっちも気を付けてね」
「そうか。不逞の輩であれば、こちらで始末をしておこう」
「ありがとう。じゃあまたね」
桂に手を振り、遼は万事屋へと向かった。
今日は万事屋の三人にお礼代わりに昼食を作る約束になっている。
万事屋に着いてチャイムを鳴らすと、何故か息を切らせた神楽に出迎えられた。
「遼!」
「神楽ちゃん、こんにちは」
「待ってたアル!」
熱烈歓迎を受けて、遼は驚きながらも中へ入る。
「おじゃましまー、って、銀ちゃん新八くん大丈夫?」
居間の床に転がっている二人は、何故だかすっかりくたびれている。
「私より先に出ようとするから止めただけアル」
「ああ、そういう事か。銀ちゃん、聞こえてるかわからないけど、台所借りるね」
遼は銀時に声を掛けてから台所に立つと、持ってきた食材を並べてから炊飯器と冷蔵庫を確認して頷いた。
「ねぇ神楽ちゃん、オムライスでもいい?」
「もちろんアル!」
「チーズ入りと無しだとどっちがいいかな」
「私はどっちも食べるから二つ作って欲しいネ」
「じゃあ、出来るまでコレどうぞ」
遼は酢昆布を渡すと、早速調理を始める。