第7章 何でカタカナの名前?
叫び声と共に、沖田がバズーカを片手に乗り込んでくる。
桂に抱き寄せられたままの遼は、慌てて刀に手をかけるが、それより早く桂は遼を抱き上げた。
「え?」
「さらばだ真選組ィィィ!!」
「えぇぇェェっっ!嘘でしょ!」
「待ぁてーぇっ、かァつらァァ!」
「ちょっ、沖田隊長ストップ!私も居ます!!」
「うまく避けろ!!」
無茶苦茶な指示に、遼は衝撃に備える為身を固くする。
飛来音と爆発音に思わず桂にしがみ付くが、衝撃が来ず、遼は閉じていた目を開いた。
二人の前には、庇うように立ちはだかる白い布。
「えっ、エリザベスぅぅぅぅぅっっ!」
桂の咆哮が辺りに響き、エリザベスがゆっくり振り返る。
【桂さん、逃げて下さい】
「エリザベスぅぅぅぅぅっっ!」
その場にバタリと倒れたエリザベスを抱き上げながら、桂は怒りに震え、沖田を睨みつけた。
「おのれ真選組、エリザベスに何て事を!
一先ず逃げるぞ、エリザベス」
「待てぇぇっ、桂ァァァ!」
遼がエリザベスに肩を貸しながら去って行く桂を捕まえようかどうしようかと悩んでいると、今度は背後で爆発音がする。
「え?」
「ふはははは、エリザベスの仇だぁぁっ!」
高笑いと共に消えていった桂を呆然と見送って、遼は恐る恐る後ろを振り向く。
案の定、土方と沖田が盛大に巻き込まれていた。
「えーっと……大丈夫ですか?」
「ゲホッ、これが大丈夫に見えるのか?」
「あ、アフロ似合ってますよ」
「じゃあ、お前もアフロにしてやろうか?」
「遠慮しときます。沖田隊長、煤がついてますよ……ん?」
ポケットからハンカチを取り出そうとして、何かが入っていることに気付く。
ハンカチと一緒にそれを取り出し、土方と沖田に見えないように確認した。
【その制服似合ってないぞ 桂】
ぐしゃりとその紙を握り潰す。
「遼?」
「何でもないですよ」
遼はにっこりと笑うと、ハンカチで沖田の顔についた煤を拭った。
「目が笑ってねぇんだけど」
「気のせいですよ」
「つーか神武、桂と何してたんだ?
まさか、ワザと逃がしたんじゃねぇよなぁ?」
土方に凄まれ、遼はうっと言葉を詰まらせる。
うっかりすると、自分と桂の関係を知られてしまう。