第7章 何でカタカナの名前?
「いやそもそも攘夷浪士探すのが仕事なんじゃ……」
「何でィ遼、近藤さんの話聞いてなかったのか?」
「え?」
「今回探すのはコイツ、指名手配中の攘夷浪士、桂小太郎だ」
沖田が広げた手配書には、遼がよく見知った男の顔と「この顔にピンときたら110番」の文字。
「アンタも真選組なら、指名手配犯くらい覚えとくんだな。桂は穏健派で名が通ってるが、平たく言えば爆弾魔のテロリストでぃ」
「へ、へ~、爆弾魔かぁ~。会わないように気を付けますね」
「いやいや、会って捕まえろって言ってんだよ」
沖田に手配書を渡され、遼は硬直する。
どうしたものかと手配書と睨めっこをしていると、桂の顔に煙草が押し付けられた。
「コイツには散々煮え湯を飲まされてんだ。どうやらかぶき町付近に潜伏してるらしいからな、今日こそしょっ引いて洗いざらい吐かせてやる」
「かっ、かぶき町に居るんですか?」
驚く遼をどう解釈したのか、土方は眉間のしわを一層深くする。
「テメェも隊士のつもりなら、爆弾魔の一人や二人捕縛してこい」
「そんな無茶苦茶な」
「出来ねぇなら、荷物纏めて実家に帰るんだな」
新人の、それも見習い期間中の任務としてはハード過ぎるのではないか。と、反論したい気持ちをグッと抑え、遼は「頑張ります」と、返事をした。
「見廻りに行くぞ」
「え、副長とですか?」
「……お前、自分が俺の補佐見習いだって忘れてないか?」
「ちょっとだけ、忘れてました」
素直に答える遼に、沖田は堪らず吹き出す。
「今日はアンタと見廻りすんのが面白そうだ。というわけで、土方車持って来いよ」
「おう。って、何で俺が運転手しなくちゃなんねーんだ!!」
いがみ始めた二人の傍らで、遼は一人頭を抱えた。
桂に会うのは非常にマズい。
真選組に入隊した事を知らない桂が、どんな爆弾を仕掛けてくるかわからない。
爆弾魔だけに。
「おい、ボーッとしてねぇで行くぞ」
いつの間にかパトカーに乗っていた土方に呼ばれ、遼も慌てて乗り込む。
こうして土方、沖田、遼と山崎の見廻りが始まった。
「あ。結局運転手は山崎さんなんですね」