第5章 幕府特別武装警察真選組
肩を落としてうなだれる遼の姿に、隊士達は思わずきゅんとしてしまう。
何とかフォロー出来ないかと頭を悩ます隊士達の姿に、近藤も腕を組んで唸るが、ルールを設定した以上、何も言えなかった。
陰鬱な空気が流れる中、沖田は今の仕合いを思い起こし、ニヤリと笑うと二人の間に立った。
「ま、確かにアンタのは反則でしたねェ。けど、先に反則したのは土方さんですぜィ」
「何イチャモンつけてんだ総悟!」
「イチャモン?
土方さん、忘れたんですかィ。剣道の公式ルールでは足払いは反則技でぃ」
沖田の一言で、誰もが互いに顔を見合わせて「あ」と言う声を出す。
あちこちから挙がる賛同に、沖田は「我が意を得たり」とほくそ笑む。
「ま、どっちにせよ土方さんの負けでって事で」
「…ちっ」
苦虫を噛み潰したような顔で舌打ちをする土方を見て、近藤は苦笑した後遼に近付いた。
「お疲れ様、遼ちゃん。それから…ようこそ、真選組へ」
近藤が差し出した手を、遼は躊躇いがちに握り、はにかんだように笑う。
「宜しくお願いします」
終