第4章 依頼
「うるせーな。こっちが頭下げてんだから、さっさと了承して入隊試験でも面接でもやりやがれ」
「鼻クソほじりながら言う台詞じゃねぇだろ!
というか、真選組は女性隊士を募集してないから無理なんだよ!」
「だったらさっさとそう言えよ」
吐き捨てる銀時に、流石に近藤もイライラし始める。
「あら近藤さん、どうして女性だと駄目なのかしら?」
「え?それはだって……」
「今江戸は、日本は、宇宙と対等に戦うという局面に入っているんですよ。それなのに、男女雇用機会均等のチャンスを奪ってこの国にどんな未来が在ると言うんですか?」
「お、お妙さん?」
面倒くさい演説を始めたお妙に、近藤は完全に気圧された。
「真選組が!平和を守る真選組がそんな事でどうするんですか!女性隊士、いいじゃないですか!!」
ヒートアップするお妙の視線の先で、遼はお妙に見えるようにこっそりメモを掲げる。
『成功報酬は、依頼の3倍でいいですか』
親指を立てて見せたお妙は、最後の締めに入った。
「近藤さん、心の広い男性って素敵だと思うんです。もし、近藤さんが神武さんにも入隊の機会を与えられるような心の広い男性だったら……きっと私」
そこまで言ってポッと顔を赤らめたお妙に、近藤は言葉の先を深読みし、「わかりました」と快諾する。
「まあ、流石近藤さん。私、近藤さんの為にドンペリーニョ発注しておきますね」
「え?」
「一本一万から揃えておきますから、気軽にお店に来て下さいね」
「あ、はは、そうですよね、楽しみにしてます」
現実を叩きつけられ、さめざめと泣く近藤の姿に、遼は悪いと思いながらも笑ってしまう。
お妙と近藤のやり取りは、遼にとって非常に懐かしく、心易いものだった。
「近藤さん、男に二言はありませんよね」
「勿論です。あ、いや、一応上司に確認を」
近藤が電話を掛け始めると、お茶を煎れた新八が戻ってきた。
「あれ、話は終わったんですか?」
「おう、お前の姉ちゃんのおかげでな」
「神武さんの為だもの」
「金の為だろ」
「お妙さん、本当にありがとうございます。報酬は後日お持ちしますね」
「急がなくて良いのよ」と微笑むお妙の懐には、既に依頼料がおさめられている。
電話を掛けていた近藤が、突如声を上げた。
「え、ちょっ、とっつあん!」