第3章 万事屋銀ちゃん
にこりと笑う遼に、神楽も毒気を抜かれたように笑顔になり、隣に腰掛けた。
「遼は絶対私が守るアル」
「ありがとう」
感謝を述べながらも遼は「何から守ってくれる気なんだろう」と、頭の隅で考える。
そんなんだから神楽が保護欲を掻き立てられるのだが、気付かずほけほけとしている。
「で、明日会いに行くのか?」
「え?」
「真選組の局長だよ。何だよ、まだ予定決めてなかったのか?」
銀時に尋ねられ、遼と新八は「そういえば」と、顔を見合わせた。
「決めてなかったね」
「そうですね。…取り敢えず、明日の昼前にウチに行きましょうか。姉上に会わない事には何とも言えませんし」
「姐御に会いに行くアルか?だったら私も行くネ!」
「じゃー銀さんも行っちゃおーかなー」
「呼んでねーよ。駄目侍」
神楽に辛辣な言葉をぶつけられ、銀時は「アレ?何か態度悪くない?」と、ガンつける神楽に冷汗を流す。
「私は、銀ちゃんにも来てもらいたいな」
遼が遠慮がちに言うと、三人は驚いた顔で遼を見る。
「駄目、かな?」
「僕は構いませんけど」
「…わかったアル」
渋々といった様子で頷く二人に、「ありがとう」と言って微笑む。
「明日に備えて今日はもう寝ましょう。僕お風呂入ってきますから、先に寝てて下さいね」
「あ、うん。ごめんね、待たせてて」
「いいえ。じゃあ、おやすみなさい」
風呂場に向かう新八を見送った遼は、ただならぬ空気を孕んだ視線に気付き振り向く。
「銀ちゃんも神楽ちゃんも、そんなに怖い顔してどうしたの?」
「何か今の新八との雰囲気新婚みたいで気に入らないネ」
「いつの間に仲良くなってんだよ。お父さんは許しませんよ」
「新婚って…からかわないでよ、もぅ」
「いやいやいやいや、何顔赤らめてるの!?」
「銀ちゃんが変な事言うからだってば…もー知らない、おやすみっ!」