第3章 万事屋銀ちゃん
「えーっと。いっ…!」
「凄いアル!0が6こもあるネ!」
「おまっ、こんな高額どうやって…って、あの仕事か」
「うん」
頷いた遼の頭を、銀時は苦笑しながらわしゃわしゃと撫でてやる。
「スゲェけど、これはちゃんと取っとけ」
「でも…」
「アホ。こんなに取ったら詐欺で訴えられるっつーの。それにさっき新八が言っただろ?」
銀時は通帳を遼の頭に乗せて「依頼料は来週のジャンプ代だってな」とにやりと笑って肩をすくめる。
「遼の為なら酢昆布代もいらないアル」
「ありがとう、みんな。あ、滞在中の生活費はちゃんと出すから。と言うか、出させてください」
そう言って笑った遼に、万事屋三人は少し驚いて、同時に微笑んだ。
「じゃあ風呂入って寝るか」
「そうですね─って、遼さんは何処で寝るんですか?」
「私と一緒に寝れば良いアル」
「いや、無理だろ」
「いや、無理でしょ」
銀時と新八の二人に突っ込まれ、神楽は「何だよチクショー!」とふて腐れる。
「僕が帰れば寝床は何とかなりますけど…」
「そんなの悪いよ。私、ソファでも床でも大丈夫だし」
「それは駄目だ」
「それは駄目ですよ」
「それは駄目アル」
異口同音に否定され、遼は目を瞬かせる。
「今日は僕がソファで寝ます。銀さん、くれぐれも遼さんに変な事しないで下さいよ」
「しねぇっつーの!」
新八に疑いの眼差しを向けられ、銀時はがなって否定する。
「遼さん、銀さんと一緒の部屋になりますけど、出来る限り布団は離しておきますから、何かあったら遠慮せず、すぐに、大声で呼んでくださいね」
「遼、嫌なら嫌って言った方がいいアルよ」
多少…かなり銀時に悪意と偏見を持った意見ではあるが、新八と神楽が本気で心配してくれているのがわかって、遼は「ありがとう」と言って微笑む。
「でも、心配しなくても大丈夫だよ。銀ちゃん「遼みたいなガキに興味ない」って言ってたから」
「はぁ?!いつ俺がそんな事…」
「覚えてない?」
首を傾げる遼に、銀時は何度も頷く。