第14章 表と裏(作成中)
「じゃあ、将来的には真選組になくてはならない方になるんでしょうね」
「うーん……」
「何か問題でも?」
「問題っていうか、副長と相性が悪いからさ。だから、遼ちゃんも難しい立場だと思うけど頑張ってね」
「あ、もう嫌われちゃったみたいです。さっきも色々嫌味を言われましたから」
ケロっと答えた遼に、山崎は「そうなんだ」と顔を引きつらせる。
「それより山崎さん、刀を新しくされたんですね」
「ああ、うん。いや、俺のなんてただの腐りかけの棒だから……」
「局長や沖田さんも刀を新調したみたいでしたけど、何かあったんですか?」
「実は、伊東さんが幕府と交渉して新型武器や刀剣なんかを仕入れてくれたんだよ。倉庫にまだあるから見に行ってみる?」
「はい、是非」
山崎に連れられ、遼は武器庫へ向かった。刀剣に興味はなかったが、新型武器などはあらかじめ確認しておきたかったし、可能な限り仕入れ先を調べておきたかったのだ。
(幕府からの、新型武器か……)
いつも出し渋る幕府が大盤振る舞いだなと、喜ぶよりも警戒してしまう。
その警戒は、見事に大当たりした。
「この辺のが全部そうだよ」
「すごい……収まりきらないほどですね。しかも、見た事無いのばかり」
並べられた新型武器に、遼は感嘆しつつもじっくり眺め、それに気が付く。
(この辺り、見た記憶が──そうだ、春雨の艦の中で見たのと同じタイプだ。って事は、やっぱり)
背後に居るであろう人物が思い浮かび、遼はギリと歯噛みした。
「遼ちゃん、大丈夫?」
「えっ、あ、はい。ちょっと圧倒されちゃって」
明らかに誤魔化した様子の遼に、山崎は何か言いたげに口を開いてゆっくり閉じる。それに気付いた遼は、にこりと笑う。
「山崎さん、副長の所に行きませんか?」
「え?」
「きっと、新しい任務が有るはずですから」
不思議がる山崎の背を押して、遼は「とりあえず行ってみましょう」と、武器庫を出た。
山崎の背を押しながら、遼は僅かに考え込む。気付いてしまった事実を、どうやって土方に伝えるべきなのか悩み、小さく唸った。
うまく伝えなければ、遼は色々と明らかにしなくてはならなくなる。
自分の過去や、大切な人達との思い出も、全てを。