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暁の契りと桃色の在り処 ー香ー

第12章 始めの一歩


『次はお前達。』

秀吉は、控えていた自らの家臣二人に声をかけた。

『名を。』

光秀が声をかける。

『某は、弥七と申します。』

あの時、肩を撃たれた家臣はあさひより一回りは年上の男だった。

『某は、喜之助(きちのすけ)と申します。』

ふくらはぎを撃たれた家臣は、弥七より少し年下だから落ち着いた面持ちだった。

『弥七、喜之助。怪我は?』

『はっ、問題ありません。』

二人は声を揃えた。

『此度の働き、大義であった。
そなた達を、あさひ付きの護衛頭とする。』

『えっ、』

『真でございますか?』

『嫌か?』

『滅相もありません!』

二人は深々と頭を下げた。

『弥七。お前は、あさひの右側を。喜之助、お前は左側を護れ。』

「へぇ、秀吉さんと光秀さんみたい。」

『ふっ、笑うからやめて。あさひ。』

家康が堪えきれずにふっと、吹き出した。

『お前たち、しっかりと我が正室を護れ。』

『はっ、仰せのままに!』

『お前達、配属は俺の家臣のままだが、それでも出世だぞ? 頑張れよ。あさひを頼むな。』

秀吉が厳しい視線で二人に眼を向けた。

『御意!』

「弥七さん、喜之助さん。宜しくお願いします。」

『姫様!有り難き幸せ!』

『我が主の姫は、お転婆の静かに座っていられない。子守りを頼むな。』

『怪我もするし、何でも首突っ込むし。大変だよ?』

『台所で煮炊きもするしな。』

「光秀さん、家康、政宗!言い過ぎだから!」

『間違ってないから。』

家康の一言に、光秀と政宗が頷いた。

『我らが政務や視察などで、あさひの側にいられないときは、必ず二人があさひの脇を固めろ。

咲、お前は必要な数の女中を選びあさひの世話全般を指揮しろ。手間がかかる娘だが頼む。』

「手間がかかるって…。皆さん、宜しくお願いします。」

『ははっ。』

そう言うと、弥七、喜之助、咲は広間をあとにした。




『あさひ、これで本当に御館様の正室だな。』
安心したように秀吉が、ふぅ、と息を付いた。

『あとは、祝言だけだな。』

『その間、怪我とかしないでよね。』

政宗と家康が続いて話始めた。




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