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暁の契りと桃色の在り処 ー香ー

第11章 愛でる想い、護る想い


『なっ、これ!唐辛子! いいんですか?』

『じゃあ、返して。』

「家康ぅ。佐助くんと仲良くなったんだね!」

『あんたを守ったお礼。』

『た、大切に使います!』

「あはは、泣かしたぁー。」

『はぁ、面倒。』

家康は、そう言うと天の邪鬼な笑みを佐助に向けた。

『行くぞ!』

謙信の声で隊が歩き始めた。

「皆さん、気をつけて!ありがとうございました!
またねぇ!」

あさひの声が青空に響き渡る。

四人が真っ直ぐに行き先を見ながら、片手を挙げ駆けていった。


『あさひ様は、本当に凄いですね。』

「え?三成くん、なにが?」

『乱世の武将を手玉に取る姫だから。』

「家康!酷い!」

『そうだぞ、言い過ぎだ! 皆に愛される姫だぞ!』

「秀吉さん、それも恥ずかしい。」

『あさひ、俺が一番愛してる。』

「政宗!どさくさ紛れにお尻触らないで!」

『政宗!』

『政宗さん、そろそろ信長様に斬られますよ。』

『金平糖を賄賂で渡す。』

「あぁー、ずるい!秀吉さんに言うからね!」

『さぁ、姫。指南の時間だ。』

光秀があさひの肩を、ぽんと叩いた。

「え、まだ続くの?」

『信長様の指示だ。正室になるのだから、所作と礼儀と舞いと茶道、政を指南する。』

「なんか増えてない?」

『早くしないと、甘味お預けだな。』

「ちょ、そんな!はぁ。」

『あさひ、行くぞ。』

やり取りを穏やかに見聞きしながら、信長が手を引いた。




この空のように、不安なんてない。
透き通るような想いだけ。

明日も明後日も、来年も再来年も

いつか永久に眠るまで

きっと、私の居場所は

この安土。

貴方の、貴方達の隣。




あさひは、謙信達が駆けていった先を振り返ると、また城に戻っていった。






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