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暁の契りと桃色の在り処 ー香ー

第11章 愛でる想い、護る想い


『ほう、貴様が誘ってくるとはな。邪魔立てしないのであれば伺おう。』

『邪魔はしに行くさ。 なぁ?謙信。』

『当たり前だ。』

いつの間にか佐助も秀吉や三成も、あさひを囲んでいる。

『泣かせたら、斬る。』

『誓ってそれはない。』

『俺もお前も、信玄も、あさひに会えて良かったな。』

静かに謙信は信長の方に酒の入った杯を向けた。

『あぁ。愛しい、と言うことを知った。』

信長は、謙信の向けた杯に自信の杯を当てた。
その後に謙信は信玄と杯を当て合う。

一瞬だけ三人は微笑むと、一気に飲み干した。





『なぁ、家康、見たか?』

『えぇ、見ましたよ。あの三人が杯を寄せ合うなんて…明日は嵐なんじゃないですか?』

『嵐なら、俺ら帰れないな。』

『あぁ、幸。もう一晩泊めてもらおう。』

『大丈夫、晴れるから。』

『家康公、そんなこと仰らずに。』

『あ、あさひ!だし巻き卵旨かっただろ?』

「うん、おいしかった。ふわふわで、政宗のだし巻き卵大好き。」

『俺の事もだろ?』

「あ、え、うん。まぁ、好き。信長様には負けるけど。」

『お前、普通に恥ずかしいぞ。それ。』

「幸、何照れてるの? 顔赤いよ?」

『初なやつめ。』

『なっ、明智!お前!』

『あさひ、あんたあんまり飲んだら駄目。』

「あ、うん。そうだね。ちょっと酔いが早そう。

…ねぇ、秀吉さん。ずっと泣いてるの?」

『今日は泣き上戸だな。三成の策が成功して嬉しいだろ。』

『三成に、全部任せておけばいいんだよ。』

『あさひさんは、羨ましいな。』

「え?佐助くん、なんで?」

『だって、こんなレアな宴の中心は君なんだから。』

「…恥ずかしいよ。私、与えてもらうばかりなのに。」

『それはないな。』

「光秀さん!」

『小さな小娘の頭で、俺の指南に付いてきた。
家臣二人の命も守った。

織田の正室として自信を持て。』

『凄いじゃん、あさひさん。光秀公のお墨付きだよ!』

「うん、照れるなぁ。」

『からかってるだけかもよ。あんた単純だから。』

『さっ、俺は甘味持ってくる。』

『おい、伊達。信玄様のは少な目にしてくれ。』


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