第10章 愛される姫君
「行くんだよね?」
『は、はい!』
『あんた、病人脅すのやめたら?』
「脅すって! …ごめん。ふふふっ。」
『姫様、いつまでもお守りします。』
「はい、ありがとう。お願いいたします。」
家臣達の手を握って、私は、これ以上涙が溢れないように気をつけながら、微笑んだ。
『さ、行くよ。待ってるし、遅いとか文句言われるから。』
「うん、また来るね!」
『はい。』
二人が笑ったので、安心して部屋を出た。
※※※※※
『あの姫様の盾に、少しでもなれたのなら、この傷は誉れだな。』
『あぁ。』
『あの方が信長様を変えたのも、納得出来る。』
『姫のような、町娘のような、…娘のような。』
『あの方をこれからも、護れたらな。』
『あぁ、秀吉様に言ってみるか?』
『ふっ、出来るか?』
『おそれ多い、出来るわけ無いだろ。』
『だな。』
撃たれた家臣は、肩とふくらはぎの自分の傷を擦りながら笑うのだった。